心 膜( しんまく、英:pericardium )

 

・概 要
・線維性心膜
・心膜腔
・漿膜性心膜
 (臓側心膜、壁側心膜)
・4層の内容物の比較
・参考となるサイト

 

 

【概 要】

【線維性心膜】

・具体的な神経・血管の名称は以下の「4層の内容物の比較」を参照のこと。

■周囲の組織■

線維性心膜はフラスコ(または巾着袋)のような形をしており、周囲の以下の組織とがっちり癒合(ゆごう)、または靭帯で結ばれています。

       
1 下側 横隔膜の腱中心

・線維性心膜の底の部分は、横隔膜の真ん中にある「腱中心」という硬い部分と完全に癒合(一体化)しています。

役割:心臓の下側が固定され、呼吸で横隔膜が上下するのに合わせて心臓も連動して動いている。

2 上側 大血管の外膜

・心臓の上部からは、大動脈や肺動脈、上大静脈といった太い血管が出入している。線維性心膜の上部は、これらの大血管の外膜とそのまま移行して一体化(融合)しています。

役割: 心臓の上部をぶら下げるように固定し、血管の根元を保護。

3 前側 胸骨の裏側

・胸骨の裏側と、線維性心膜の前面が、「胸骨心膜靭帯」という強靭な靭帯によって直接結ばれている。

役割: 心臓が後ろへズレたり、前後に大きく揺れたりするのを防止する。

4 上方の奥 深頸筋膜の気管前葉

・線維性心膜の上部は、首の奥を通る深頸筋膜(気管前葉)という硬い膜の組織とも上方向で連続してつながっている。

役割: 首から胸にかけての軸を保ち、心臓を吊り下げる補助をしている。

 

【漿膜性心膜】

線維性心膜の内側に位置する漿膜性心膜は、いわゆる漿膜が折り返って二重になって心臓を包み込んでいるもの。つまり、腹膜が臓器を包み込んでいる場合と同じ構造となる。

■臓側心膜■

■壁側心膜■

項 目

臓側心膜 (=心外膜)

壁側心膜
1

位 置

心臓の筋肉(心筋)に直接ぴったりと密着している(心臓に近い方)

臓側心膜の外側にあり、線維性心膜の内側を裏打ちしている(心臓から離れた方)

2

脂肪組織

豊富

存在しない

3

神経・血管

走っている

走っている

4

厚 さ

約 0.5 〜 11 mm

(※脂肪の厚さによって個人差が大きい)

 

約 数十 〜 数百 μm

5

主な役割

心筋の保護、血管・神経の通り道の確保

漿液(心膜液)を分泌し、心臓の摩擦を減らす

 

 

【4層の内容物の比較】

最内層の臓側心膜 から最外層の線維性心膜 までの4つのレイヤー(層および空間)に何が含まれているのか を以下に簡単にまとめてみた。

 

 

組織・物質 神 経 血 管
1
臓側心膜
・中皮細胞(単層扁平上皮)
・豊富な脂肪組織
・自律神経(心神経叢)
(交感神経・副交感神経のネットワーク)
・冠動脈 (左冠動脈、右冠動脈など)
・冠状静脈
2
心膜腔
・心膜液(漿液)
(※約 15〜50 ml の無色透明な潤滑油)
無
無
3
壁側心膜
・中皮細胞
・薄い結合組織
・横隔神経の末梢枝
(線維性心膜から貫通する細い枝)
・心膜横隔動脈・静脈の末梢枝
(線維性心膜から貫通する細い枝)
4
線維性心膜
・強靭な高密度結合組織 (コラーゲン線維)
・周囲の組織(横隔膜・胸骨など)との結合部
・横隔神経
(※膜の外側を並走・貫通する)
・心膜横隔動脈
・心膜横隔静脈