腎 臓( じんぞう、英:Kidney )

 

・概 要(形状・大きさ)
・位 置(周囲の臓器)
・構 造 (腎皮質、腎髄質、腎杯・腎盂、ネフロン)
・腎臓と膜
・働 き
・脈管/神経
・腎区域
・関連語句
 

 

概要

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。

会員限定の図

 

【形 状】

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。

 

位置

腎臓は腹腔の後方、脊柱の左右に位置する後腹膜器官(retroperitoneal organ)である。

おおむね第12胸椎(T12)から第3腰椎(L3)付近に位置する。右側には大きな肝臓が存在するため、一般に右腎は左腎よりやや低い位置にある。

左右の腎臓の上端付近には副腎(suprarenal gland / adrenal gland)が位置する。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。

 

【周囲の臓器】

腎臓は後腹膜に位置しており、左右で前方に接する臓器が異なる。

【右 腎】

右腎の前方では、主として肝臓、十二指腸、上行結腸などと位置的な関係をもつ。

【左 腎】

左腎の前方では、主として胃、脾臓、膵臓、空腸、下行結腸などと位置的な関係をもつ。

【後 方】

左右の腎臓は後方で、横隔膜、大腰筋、腰方形筋などと位置的な関係をもつ。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。

構造

腎実質 尿 腎洞

・腎臓に占めるそれぞれの割合は、腎実質が約85~90%、腎洞が10~15%となる。

 ※割合は資料によって異なる。腎実質を「70~80%」としている資料も見られる。

 会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。 腎実質 腎洞 尿 腎皮質 腎髄質 腎実質

更に、腎臓の働きの中心となる腎実質は大きく、腎皮質と腎髄質に分かれる。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。 近位尿細管 遠位尿細管 皮質集合管 髄質集合管 乳頭管

また、腎臓は、尿をつくる腎実質(腎皮質と腎髄質)と、それ以外の部分(腎洞・腎門・被膜など)に分けて考えることもある。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。 腎皮質 腎柱 腎髄質 腎錐体 腎乳頭 小腎杯 大腎杯 腎盂 腎洞 腎門 腎被膜 脂肪被膜 腎筋膜 腎実質 拡大図

 

 
名 称
特 徴
1

腎被膜

(=線維被膜)

最内側に位置して腎臓の表面を直に包む薄くて強い線維性の膜

組成:高密度で規則的に配列したコラーゲン線維(TypeⅠ&Ⅲ)が大部分を占め、ごくわずかに弾性線維と平滑筋線維が含まれる。

なお、線維被膜という呼称は肝臓、脾臓、精巣、または卵巣などでも見られる。

2

(腎周囲)

脂肪被膜

(=脂肪嚢)

線維被膜の外側に位置する脂肪層で、後面と内側でよく発達している。腎臓とは別に副腎も包み込んでいる。
3

腎臓、副腎、周囲の脂肪をまとめて包んでいる線維性の膜で、二層構造(前葉・後葉)となる。

組成:コラーゲン線維(TypeⅠ&Ⅲ)が主だが大量の弾性線維が粗く混ざり合う。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。

働き

【1.尿の生成と老廃物の排泄】

血液を濾過し、尿素、クレアチニン、尿酸などの代謝産物や体内で不要となった物質を尿として体外へ排出する。

 

【2.体液量の調節】

水分の再吸収量および排泄量を調節することによって、体液量や血液量を一定の範囲に保つ。

 

【3.電解質濃度の調節】

ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質について、再吸収や排泄を調節し、体液中の濃度を適切な範囲に維持する。

 

【4.酸塩基平衡の調節】

水素イオンの排泄や重炭酸イオンの再吸収などを通して、血液のpHを一定の範囲に維持する。

 

【5.血圧の調節】

腎臓の傍糸球体細胞からレニン(renin)が分泌される。レニンはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を介して、血圧や体液量の調節に関与する。

 

【6.赤血球産生の調節】

腎臓ではエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が産生される。エリスロポエチンは骨髄に作用して赤血球の産生を促進する。

 

【7.ビタミンDの活性化】

腎臓はビタミンDを活性型へ変換する過程に関与する。活性型ビタミンDはカルシウムやリンの代謝、および骨代謝の調節に重要な役割を果たす。

 

脈管/神経

【動 脈】

左右の腎動脈(renal artery)は腹大動脈(abdominal aorta)から分岐し、腎門から腎臓内へ入る。

腎臓内のおおまかな動脈血流は、以下の順となる。

腹大動脈 → 腎動脈 → 区域動脈 → 葉間動脈 → 弓状動脈 → 小葉間動脈(皮質放線動脈) → 輸入細動脈 → 糸球体

糸球体を通過した血液は輸出細動脈へ流出する。

 

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。 拡大図 被膜枝 下副腎動脈 尿管枝 腎臓の動脈(拡大図)

会員限定の図 上腸間膜動脈 腹大動脈 拡大図

 

【静 脈】

腎臓からの静脈血は最終的に腎静脈(renal vein)へ集まり、下大静脈(inferior vena cava)へ流入する。

左腎静脈は右腎静脈より長く、腹大動脈の前方を横切って下大静脈へ流入する。

 

【リンパ管】

腎臓からのリンパ管は主として腎血管に沿って走行し、腰リンパ節(lumbar lymph nodes)などへ流入する。

 

【神 経】

腎臓には腎神経叢(renal plexus)を介して自律神経線維が分布する。

特に交感神経は腎血管の収縮やレニン分泌などに関与する。

腎臓や尿管からの内臓求心性線維は痛覚の伝達にも関係し、腎臓・尿管に生じた痛みが背部や側腹部などに感じられることがある。

 

腎区域

腎区域(じんくいき、renal segments)とは、腎動脈から分かれる区域動脈がそれぞれ分布する範囲によって腎臓を分けたもので、上区・上前区・下前区・下区・後区の5つの区域からなる。

区域動脈は互いに吻合をもたない終動脈であるため、1本が詰まるとその区域だけが血流を失う(腎梗塞)。このため腎区域は、腎臓の部分切除など区域ごとに血管を扱う手術で重要となる。

なお、腎区域は腎葉(1つの腎錐体とそれを覆う皮質)による区分とは一致しない。

会員限定の図この部位の閲覧には会員登録が必要です。 拡大図

【5つの区域と区域動脈】

区 域
分布する動脈
位 置
上 区
上区動脈(前枝)
最上部の区域で、前面から後面にまで及ぶ。
上前区
上前区動脈(前枝)
前面の上部を占める。
下前区
下前区動脈(前枝)
前面の下部を占める。
下 区
下区動脈(前枝)
最下部の区域で、前面・後面に達する。
後 区
後区動脈(後枝)
後面の大部分を占める。

腎動脈は腎門の近くで前枝と後枝に分かれる。前枝は腎盂の前を走って4つの区域動脈に分かれ、後枝は腎盂の後ろを走って後区動脈となる。

 

【無血管面】

前枝と後枝の分布域の境には、血管の少ない面(無血管面、ブレーデル線:Brödel's line)があり、外側縁のやや後ろに位置する。経皮的に腎盂へ到達する処置(経皮的腎瘻造設など)の経路として用いられる。

 

【区域の数の個人差】

5区域は標準的な模式であり、区域の数や区域動脈の分かれ方には個人差が大きい。鋳型標本の研究では5〜9区域(平均約7区域)とする報告もある。

 

関連語句

腎臓に関連する主な解剖学用語を五十音順に示す。

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行